中小企業の経営者であるあなたは、「DXは大企業のもので、中小企業には関係ない」「DX化には多額の投資が必要では」と感じておられるかも知れません。
しかし、実は中小企業だからこそ、大企業以上にDX化の必要性が高いのです。
本記事では、中小企業においてDX化の必要性が高い理由やDX化の具体的なメリット、そして手軽に始められるDXの導入方法を詳しく解説します。
中小企業における問題点
中小企業と大企業における大きな違いの一つに、人的リソースがあります。大企業に比べて人的リソースが大幅に限定されている中小企業においては、生産性の低い業務に費やす工数(時間や労力)はありません。
顧客に対して高い価値を提供する為には、限られたリソースの中で業務効率を最大化する必要があります。しかし、中小企業では一人の社員が複数の業務や管理を兼任するケースが多く、業務範囲と負荷は大企業に比べ高くなる傾向にあります。
例えば、営業担当者が事務処理や在庫管理まで行うことで、コアビジネスである営業活動に十分な時間を割けず、生産性が低くなるといった状況です。
その結果、本来得られるはずだった売上額には到達できず、残業が増えコストも増加。利益は伸び悩みます。会社にキャッシュが貯まらないので、新たなビジネスの種を作り出す投資活動を行なう事は出来ないし、従業員の給料を増やし人手不足を解消する為の手立てを打つことも出来ません。
こうした流れによって、人も会社も疲弊するという悪循環が起こりがちです。(まさに今の日本の姿だと思いませんか?)
中小企業がDX化によって対応すべき課題
この悪循環を断ち切るために、元凶となっている課題を解決しなければなりません。
では、その課題とは一体何なのか?
中小企業が負の連鎖を断ち切るために解決すべき、課題や問題点を整理しました。
分類としては以下の4つです。
- 手作業による非効率性
- 情報共有の遅れ
- 顧客対応の遅れ
- 市場変化時の対応力不足
この4つの課題を解決するために、”デジタルツールを徹底的に利用してDX化する”という手段が必要となります。
手作業による業務の非効率性
多くの中小企業では、未だに紙ベースの書類管理やエクセルでの手動入力による業務や作業が主流です。これにより、データ入力ミスや情報の重複、煩雑な管理へと繋がり業務効率が低下しています。
非効率なのは紙による管理や手動入力の対応だけではありません。煩雑なオペレーションによって生じたミスにより、通常のオペレーション作業の何倍もの工数を奪われるリカバリ対応に工数を割くことを余儀なくされます。
【例】
受注管理をすべて手書きの伝票で行っていると、伝票の紛失や記入ミスが発生します。それらのミスを起点として、納品漏れや数量相違、請求漏れが発生する事になります。そうした事故が起きると、上司を含めた数人でのリカバリが必要になり、効率化とはほど遠い状況となります。
情報共有の遅れ
部門間や社員間の情報共有がスムーズに行われていないため、意思決定が遅れたり、業務の重複が生じたりします。特に紙で共有事項を張り出したり、メールでの連絡に頼っている場合です。
必要なタイミングで必要な情報が必要な精度で伝わらないので、十分な顧客サービスが行われなかったり、業務上のみ素が出る、営業に活かせないなど、顧客への価値提供を高めることが出来なばかりか、新しい取引のチャンスを逃すことに繋がります。
【例】
営業チームと製品開発チームの間で情報共有が遅れ、新製品の特徴や価格情報の詳細が営業スタッフに伝わっていなかったと言う事例があります。新製品のリリース日に、営業スタッフは顧客からの問い合わせに適切に対応する事が出来ませんでした。見込み顧客に必要な価値を提供する事が出来なかったため、機会損失を起こしました。
顧客対応の遅れ
顧客からの問い合わせや注文に対するレスポンスが遅れると、売上機会の損失や顧客満足度の低下につながります。中小企業では、専任のカスタマーサポート担当者を置けない場合が多く、対応が後手に回りがちです。
また、顧客満足度を測る指標(KPI等)が設定されておらず、満足度として何をどう捉えれば良いかがはっきりしておらず、必要な改善活動も行われていないので、ライバル企業との差は広がるばかりです。
【例】
地域密着型の小売店が、オンラインショップを持たず電話のみで注文を受け付けていたため、営業時間外や通話中などで注文機会を逃し、売上の機会損失が生じていました。また、せっかく「欲しい」と思った頂けた見込み顧客にサービス提供出来なかった為、顧客満足度も低下しました。
市場変化時の対応力不足
市場や顧客ニーズの変化に迅速に対応できないと、競合他社に遅れをとり売上の機会を逸するばかりかマーケットのシェアを奪われる可能性が生じます。DX化やデジタル化が進んでいない企業では、タイムリーな情報を数字で収集出来ないため、数字データの分析と分析結果をベースとした確度の高い意思決定が困難です。
市場のニーズが変動している事に気付けない、気付けたとしてもどのように対応すべきか分析が出来ない状態であれば、新しいビジネスチャンスを逃すだけでなく、現市場でのポジションを失うことにも繋がるため、注意が必要です。
【例】
飲食店がテイクアウト需要の高まりに対応できず、オンライン注文システムを持っていなかったために売上が減少しました。一方、Web上のオンラインショップを立ち上げ、テイクアウト及びデリバリーを行った競合店は売上を維持または増加させていました。
まとめ|限られたリソースでの生産性向上の必要性
以上のような問題点から、中小企業においては限られたリソースの中で生産性を最大化し、顧客に高い価値を提供する必要があります。しかし、多くの中小企業の業務プロセスやシステムでは、一人の従業員が担当する業務範囲が広く、個々の従業員の努力による業務効率化には限界があります。
こうした生産性向上の必要性を実現し、中小企業を蘇らせる手段として、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が不可欠となっています。DXによって業務プロセスを見直し、デジタル技術を活用することで、こうした問題を効果的に解決することが可能です。
DX化が中小企業にもたらすメリット
DX化の導入によって、中小企業は以下の具体的なメリットを享受できます。
業務効率の向上
中小企業がDXを導入する最大のメリットの一つが、業務効率の向上です。従来は紙ベースで行っていた書類管理や手作業でのデータ入力など、時間と労力を要する業務をデジタルツールに置き換えることで、管理時間や作業時間を大幅に短縮できます。
また、業務品質が向上するのでミスの削減にも寄与します。品質の低下やミスにより生じるリカバリ対応に要する時間を大幅に削減する事が出来ます。
例えばグループウェアを導入すれば、ドキュメントの共有や業務上のコミュニケーション等がデジタルでサポートされ、コミュニケーションのスピードと精度が向上します。また、経費精算や勤怠管理などのバックオフィス業務を等をデジタル化したりフローを自動化することで、ヒューマンエラーを減らし、確認作業やリカバリ対応に費やす時間を削減できます。
限られた人的リソースしか持たない中小企業にとって、これらの効率化はコアビジネスに集中するための時間を生み出す重要な手段となります。
コスト削減
DX化する為のシステムやデジタルツールの導入は、大きな初期投資が必要と考えられがちですが、段階的かつ計画的に導入してゆく事で、従業員一人あたり月額数百円レベルの投資で、大きなコスト削減効果を得ることが可能です。長期的にはかなり大きなコスト削減へとつながります。DX化による業務プロセスの改善やデジタル化、自動化プロセスの構築により、以下のような削減効果を得られます。
- 人件費の最適化:単純作業や繰り返し作業を自動化することで、人手に頼る部分が減少し、人件費を削減できます。また、効率化により残業時間の削減が出来ます。
- ペーパーレス化による経費削減:請求書や契約書の発行に伴う印刷、封入、発送等の費用、保管スペース、社内の紙運用ワークフローにおける各種申請や稟議などの無駄な時間と手間を削減できます。
- 設備投資の抑制:クラウドサービスの活用により、サーバーやソフトウェア費用及び保守費の削減が出来ます。
これらのコスト削減は、限られた資金で運用を行っている中小企業にとって、財務健全性を保つための重要な要素です。
顧客満足度の向上
DX化による効果は、社内業務の効率化だけでなく、顧客満足度の向上にも直結します。デジタル技術を活用することで、顧客のニーズに迅速かつ的確に応えることが可能になるからです。
具体的には以下のような3つの内容に纏めることが出来ます。
- データ分析による顧客理解:CRMシステムなどからのデジタルデータによって、顧客の購買履歴や行動パターンを分析し、個々のニーズに合わせたサービスや商品を提案できます。
- オンラインチャネルの拡充:ウェブサイトやSNSを通じて24時間体制で情報提供とサポートが可能になるので、オンデマンドで顧客ニーズに応えることが出来、顧客利便性が向上します。
- 迅速な対応:AIチャットボットや自動返信システムの導入で、サポートの入り口でしっかりと対応できる事に加え、デジタル化された顧客対応システムによって、必要な顧客対応を必要な部署で即座に対応できます。
これらによって、顧客からの信頼と満足を獲得し、リピーターの増加や新規顧客の獲得につなげることができます。顧客満足度の高い企業は市場での評価も高まり、結果として企業の成長を促進します。
DXは大きなコストをかけなくてもできる
DXと聞くと、「多額の投資が必要なのではないか」「大企業でなければ難しいのではないか」と考える方も多いかもしれません。しかし、実際には大きなコストをかけずにDXのメリットを得る方法が多数存在します。中小企業でも手軽に始められる具体的な方法をご紹介します。
1. クラウドサービス(SaaS)の活用
初期投資を抑えるために、クラウドベースのサービスを利用するのがおすすめです。クラウドベースのサービスはほとんどが月額料金制で、改善に必要な機能だけを選んで利用できます。
- グループウェア:無料または低価格で利用できるグループウェアを活用し、社内の情報共有を効率化します。例えば、Google WorkspaceやMicrosoft 365、サイボウズOfficeなどは中小企業向けのプランがあります。
- オンラインストレージ:DropboxやGoogle Driveなどのオンラインストレージを使って、ファイルの共有やバックアップを容易に行えます。
- 会計ソフト:freeeやマネーフォワード クラウドなど、クラウド型の会計ソフトを利用することで、経理業務を効率化できます。
- CRM(顧客関係管理)ツール:Zoho CRMやHubSpotなどの無料プランを使って、顧客情報を一元管理できます。
- チャットツールの活用:SlackやChatworkなどのチャットツールを導入し、コミュニケーションを迅速化します。基本機能は無料で利用可能です。Google Workspaceのチャットも中々使い勝手が良いです。
- プロジェクト管理ツール:TrelloやAsanaなどの無料プランを使って、タスク管理や進捗管理を効率化できます。
また、これらのサービスの中には、無料でもある程度利用出来るツールが多く存在します。上手く活用すれば費用を抑えることが可能です。
2. 既存のデバイスを活用
新たなハードウェアを購入するのではなく、既に社員が使用しているパソコンやスマートフォン、タブレットをそのまま活用して、DX化します。
- 既存のPCをそのまま利用:SaaSツールなどはマシンパワーを必要としないので、既に配付している社員用PCをそのまま利用して各種ツールを使用することが出来ます。
- モバイルアプリの利用:経費精算や勤怠管理など、スマートフォンで手軽に行えるアプリを導入します。
- BYOD(Bring Your Own Device)の推進:社員の私用デバイスを業務で活用することで、ハードウェアコストを削減します。ただし、セキュリティ対策は十分に行う必要があります。
3. オンライン学習で人材育成
DX推進に必要なスキルは、オンライン学習を通じて習得できます。
- 無料のオンライン講座:CourseraやUdemyなどのプラットフォームで、デジタルスキルに関する無料コースを受講できます。
- 社内勉強会の開催:社員同士で知識を共有し、共にスキルアップを図ります。
4. 政府や自治体の支援策を活用
多くの政府機関や自治体が、中小企業のDX推進を支援する補助金や助成金制度を提供しています。
- IT導入補助金:ITツールの導入費用の一部を補助してくれる制度です。
- 専門家派遣サービス:中小企業診断士やITコーディネーターによる無料相談を利用できます。
結論・まとめ
中小企業が抱える限られた人的リソースや資金の制約は、確かに大きな課題です。しかし、その制約こそがDX(デジタルトランスフォーメーション)を導入する強力な動機となります。生産性の低い業務に時間を費やす余裕はなく、効率化と顧客価値の最大化が求められる現代において、DXは中小企業が競争力を維持し成長するための必須の手段です。
重要なのは、DXは必ずしも大きなコストを必要としないということです。クラウドサービスや無料・低価格のツールを活用することで、リスクを抑えつつもDX化への第一歩を踏みだし、大きな効果を得ることが可能です。政府や自治体の支援策を活用すれば、さらに導入のハードルを下げることができます。
中小企業だからこそ持つ機動力と柔軟性を活かし、DXを推進することで新たなビジネスチャンスをつかみましょう。
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